『幽』文学賞(旧・『幽』怪談文学賞) 歴代受賞作アーカイブ
2006年に日本初の怪談専門誌『幽』から生まれた公募新人文学賞(2015年・第10回をもって終了)。選考委員を岩井志麻子、京極夏彦、高橋葉介、南條竹則、東雅夫らが務め、正賞として「青行灯」トロフィーを授与。長編部門・短編部門から黒史郎、宇佐美まこと、雀野日名子、岡部えつ、沙木とも子、篠たまきなど、現代の怪異・怪談文芸を代表する名手を多数輩出しました。
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第10回
2015年やみ窓
著者: 篠たまき
第10回(最終回)短編部門大賞受賞作。著者は後に角川ホラー文庫『人魚のたまご』等で活躍。
2年前に結婚し、夫と死別した柚子は昼間はコールセンターのシフト制で働くフリーターだ。義理の母は柚子に息子を殺されたと罵倒する。柚子が味わった地獄は、別の形となって続いていた。それは何の前触れもなく突然やってくる異界のものたちとの闇の取引だ。いつ蹂躙されるともしれない危険と隣り合わせだが、窓の外の哀れな貧しい物の怪たちの来訪を待ちわびる柚子なのであった……。(「やみ窓」) 月蝕の夜、「かみさん……」土の匂いのする風が吹き、野分の後のように割れた叢に一人の娘が立っていた。訛りがきつく何をしゃべっているか聞き取れないが、柚子を祈り、崇めていることが分かった。ある夜、娘は手織りの素朴な反物を持ってきた。その反物はネットオークションで高額な値が付き……。そんなとき団地で出会った老婦人の千代は、ネットオークションで売り出した布と同じ柄の着物を持っていた のだ。その織物にはある呪われた伝説があった……。(「やみ織」) ほか、亡き夫の死因が徐々に明らかにされ、夢と現の境界があいまいになっていく眩暈を描いた「やみ児」、そして連作中、唯一異界の者の視点で描いた「祠の灯り」でついに物語は大団円に。色気と湿気のある筆致で細部まで幻想と現実のあわいを描き、地獄という恐怖と快楽に迫った傑作。
悪い月が昇る
著者: 藤森計
目出し帽の女
著者: 蕎麦田
第9回
2014年美しい果実
著者: 唐瓜直
第9回短編部門大賞受賞作。
結婚して間もなく新種の難病にかかり妻が倒れた。昏睡状態に陥った妻を連れだした俺は、とある農園に愛する妻を埋めた。それが彼女の遺言だった――。選考委員が驚愕した第9回『幽』文学賞短篇部門大賞受賞作。
五月は薄闇の内に 耕書堂奇談
著者: 風花千里
黒落語
著者: 近藤五郎
因業羅漢谷
著者: 鷹尾東雨
彼女と地獄のはなし
著者: 鵠東きみ
いぬのかお
著者: 山野ねこ
須賀幌の市
著者: 並木将介
第8回
2013年常夜
著者: 石川緑
第8回長編部門大賞受賞作。民俗学と怪異が交錯する旧家の因習ホラー。
学芸員の私は旧家や辺鄙な土地を訪れる機会がある。野々宮先生の喜寿を祝う会に出席した折、そうした場所で見聞きした話をまとめるよう先生に勧められ――。第8回『幽』怪談文学賞・長編部門大賞受賞作。
きんきら屋敷の花嫁
著者: 添田小萩
第8回長編部門特別賞受賞作。資産家の旧家に嫁いだ花嫁の恐怖。
平凡だけがとりえの知花は見合いを勧められる。相手は資産家の飯盛家の長男。なぜか気に入られた。奥深い森の洞穴で“新妻は見た!” 第8回「幽」怪談文学賞で審査員を唸らせた和風ゴシックロマンス。
そこはかさん
著者: 沙木とも子
第8回短編部門大賞受賞作。
舞台は京都にある美代ちゃんの築百五十年のお家。その古くて暗い台所には竃神が祀られたおくどさんがあった。そして、代々女性にしか見えず、見る者によって形や姿が異なるといわれる"そこはかさん"なる存在が-。はたして美代ちゃんの目に映ったそこはかさんとは…。第8回『幽』怪談文学賞短編部門大賞受賞作品。他、書き下しの二編を収録。
第7回
2012年地蔵の背/埃家
著者: 織江邑、剣先あおり
第7回短編部門準大賞受賞の「地蔵の背」(織江邑)と「埃家」(剣先あおり)をカップリング収録。
妻と息子を連れて里帰りをしていた僕は、地域の地蔵盆に出くわした。子どもの頃に必ずお参りしていた地蔵を、息子と一緒に拝んだ。かつて、この地蔵の祠の中には僕の妹がいたのだ。郷愁を誘う、しみじみと怖い一篇(『地蔵の背』)。久しぶりに実家に電話をかけると、お袋の様子がどこかおかしい。親父も普通ではない。何か理解できないことが起こっているのだろうか。気になった俺が、実家で見たモノとは。家族が何者かに侵蝕されてゆく恐怖(『埃家』)。Wで読めば、怖さも2倍!?両作家の受賞作と書き下ろしを1冊にWで収録。『ダ・ヴィンチ』『幽』主催第7回『幽』怪談文学賞短編部門準大賞。
置いてけ堀
著者: 小林義彦
奇妙な孤独・他三篇
著者: 殿井歩
第6回
2011年第5回
2010年死者はバスに乗って
著者: 三輪チサ
第5回長編部門大賞受賞作。
信号無視の幼椎園バスが原因で起きた交通事故。大勢いた目撃者の中でバスを見たのは、高校生の奈美を含む三人だけだった。事故から数日後、奈美の家へ幼い頃に他界した弟が帰ってくる…。連鎖的に起こる怪異現象。その背後に潜むものとは?女子高校生、熱血刑事コンビ、霊感大道芸人らを巻き込み、事件は加速してゆく。「弟、私が殺したんです-」『ダ・ヴィンチ』『幽』主催第五回『幽』怪談文学賞長編部門大賞受賞作。
だいこくのねじ
著者: 靍井通眞
不幸大王がやってくる
著者: 金魚屋
おいでるかん
著者: 仲町六絵
蟹の国
著者: 有井聡
第4回
2009年京都怪談 おじゃみ
著者: 神狛しず
第4回短編部門大賞受賞作。
じゃみ、じゃみ、じゃみ。夫と五歳の一人息子と、京都の古民家で暮らす「私」は家の押入れや壁の隙間を這い回る、"異形の家族"を飼っている。それは私の過去の罪の証-。夫とも息子とも仲良うしたらあかん、"おじゃみ"がへんにし起こして、みんな居らんなってしまう(「おじゃみ」)。京都に暮らす女たちの心の闇を描く全7篇。書き下ろし作品「勇」を収録。第4回『幽』怪談文学賞短編部門大賞受賞作。
蛸比丘尼
著者: 藤原葉子
葦の原 ありふれた死の舞踏
著者: 金子みずは
第3回
2008年夢に抱かれて見る闇は
著者: 岡部えつ
第3回短編部門大賞受賞作『枯骨の恋』の文庫化。
男を初めて部屋に上げるときには、かなりの勇気がいる。 もしこの男に、見えてしまったら……。 まもなく40になる独身の真千子が独りで住まうアパートの部屋の何もない壁には、かつて捨てた恋人、博也の骸骨が立っている。知り合ったばかりの男を部屋に入れた夜、暗闇の中で男の愛撫に博也の癖を見つけ……。(第3回『幽』怪談文学賞受賞作「枯骨の恋」) 職場のパワハラで自殺した年下の同僚。彼女の家族に訴訟をけしかけようと、実家がある田舎を訪れた千穂。そこで出会ったのは、予想外の反応をする母親と、若い死者に対する奇妙な風習だった。(「アブレバチ」) 『嘘を愛する女』が話題の著者、デビュー作&第3回『幽』怪談文学賞〈大賞〉受賞作(選考委員/岩井志麻子、木原浩勝、京極夏彦、高橋葉介、東雅夫)が待望の文庫化。 (単行本時タイトル:『枯骨の恋』) 単行本収録作品に、不倫相手との縁切り物語1篇を加えた8つの傑作怪談。 現代を生きる30~40代の女性のリアルな情念と、突きつけられる現実、その中で少しでも光を掴みたいともがく姿を描いた、怖くてエロくて美しい短編集。
第2回
2007年あちん
著者: 雀野日名子
第2回短編部門大賞受賞作。著者は後に怪談界の旗手に。
F市のお城跡に建つ県庁で事務をしている公務員の奈津美。その平穏な日常は、オホリノテを踏みつけたことで揺らぎ始めた。オホリノテ。お堀の手。梅雨になると石垣から這い出してくる、焼け焦げたような色の藻草のことだ。この土地には、奈津美のまわりには、常に死者の影がつきまとう…。第2回『幽』怪談文学賞大賞受賞作に書き下ろしを加えた実話から織り上げたふるさと怪談。
第1回
2006年夜は一緒に散歩しよ
著者: 黒史郎
第1回長編部門大賞受賞作。怪異と日常が溶け合う黒史郎のデビュー作。
作家の横田卓郎は妻を亡くし、娘の千秋と一緒に暮らしていた。妻の死後、千秋は奇妙な絵を描くようになる。人ではない異形のものを。そして、ある日をきっかけに「青い顔の女」ばかりを描くようになった。千秋はその絵を「ママ」と呼び、絵を描くことに執着するようになる。もうひとつの執着。それは夜の散歩だった。第1回『幽』怪談文学賞長編部門大賞受賞作品。
るんびにの子供
著者: 宇佐美まこと
第1回短編部門大賞受賞作。のちに直木賞候補・本格ミステリ作家として大成した宇佐美まことのデビュー作。
草が生い茂り危ないからと近づくのを禁止された池で、四人の園児たちは水から上がってくる自分たちと同じ年齢の少女を茫然と見つめていた。その後、その女の子を園でも見かけるようになり……(「るんびにの子供」)。女のヒモ生活を追い出され、悪事の果てに辿り着いた古家の老夫婦に孫だと思わせ同居する男ーー(「柘榴の家」)。妹の性格が気に入らない姉が犬の散歩で見かけた右手のみの手袋が、だんだん家に近づいてきたらーー(「手袋」)。第1回『幽』怪談文学賞短部門で大賞を受賞した「るんびにの子供」ほか『幽』に掲載された「獺祭」、書下ろし作「狼魄」を含めた怪談作品を7篇を収録。待望の文庫化。 解説は『幽』怪談文学賞で選考委員を担当された岩井志麻子氏。
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横溝正史ミステリ&ホラー大賞
2019年に「横溝正史ミステリ大賞」と「日本ホラー小説大賞」が統合して誕生した、KADOKAWAが主催する国内最高峰の公募新人エンタメ文学賞。ミステリとホラーの境界を打ち破る革新的かつ恐怖と謎解きに満ちた新世代の傑作を発掘し続けています。
日本ホラー小説大賞
1994年から2018年まで開催された、日本のモダンホラー隆盛を決定づけた伝説的文学賞。瀬名秀明『パラサイト・イヴ』、貴志祐介『黒い家』、岩井志麻子『ぼっけえ、きょうてえ』、恒川光太郎『夜市』、澤村伊智『ぼぎわんが、来る』など、日本ホラー史に残る幾多の名作・巨匠を輩出しました。